サラリーマン行政書士の読書日記

本ブログは、サラリーマン行政書士である私が、本業、副業、中小企業診断士に挑戦若しくは奮闘する様及び読書記録を綴るブログです。


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『家康、江戸を建てる』東京の基礎ができるまで。

『家康、江戸を建てる』東京の基礎ができるまで。 

家康、江戸を建てる

家康、江戸を建てる

この本に興味を持ったきっかけは、随分昔にテレビでみた江戸ができるまでを描いたドキュメンタリー番組です。その番組でも、やはりスタートは小田原城攻めでの領地替えの打診で、海に面した低湿地帯をどうするかというところから始まり、大名を弱らせるための江戸普請まで、『家康、江戸を建てる』で描かれているのとほぼ同じ内容。

この番組で何よりも魅せられたのは、0から1を作っただけでなく、それを10にまでしてしまったということ。家康の関東移封までは、江戸は田舎も田舎だったわけですから、これはとんでもない偉業です。

『家康、江戸を建てる』

単行本で出た際、すぐに「買おう!」と思っていたのですが、丁度その頃にも積読が山のようになっていたため、文庫本になるまで待とう、と。それから2年ほど経ち、文庫化されたもの早速買っておりましたが、相変わらず積読在庫は積み上がっており、一旦ブックタワーの肥やしとしておりました。

文庫本のオビで年始にテレビドラマとして放映されることを知り、先にテレビドラマを見てから読もうかなと決めていたのですが、なんと録画に失敗…。楽しみにしていた前編「水を制す」を見逃してしまいました…。

www.nhk.or.jp

するともう、読まずにはいられなくなってしまいますね。積読ブックタワーの優先順位をいくつもすっ飛ばして、読んでしまいました。

東京の基礎、江戸を建てた家康

本書は、小田原城攻めの際に徳川家康が、豊臣秀吉より領地替えを打診されるところから始まります。それまでの領土である三河、遠江、駿河、信濃、甲斐を返上した上で、新たな領土として相模、武蔵、上野、下野、上総、下総、安房、常陸を与えるというもの。

当時の関東といえば小田原が栄えていましたが、北条氏への愛着も強く、江戸の地はまだ未開の地でした。これをどのようにして切り拓いていくのか、というのがこの小説のテーマです。

今では全く考えられませんが、家康が移封となった1590年は、今の東京駅あたりまで海が広がっていました。日比谷入り江と言われていたことからも、東京の街はかなり広範にわたって、埋め立て地だったということがわかりますね。

この海に面した低湿地帯。江戸を建てるどころか、人が住むにも不便な土地を、どのようにして整地し、経済をつくり、江戸を建てたのか。現代東京の基礎を建てたともいうべき、壮大な物語です。

家康、現場にスポットをあてる

本書タイトルは『家康、江戸を建てる』ですが、主人公は家康ではありません。全五話で構成され、治水、貨幣、上水道、石垣、天守にまつわる話で、それぞれの仕事を直接指揮、実行した実務担当者が主人公です。伊奈家三代、後藤庄三郎、大久保藤五郎、六次郎、吾平、喜三太、中井正清、そして徳川秀忠。

言ってみれば徳川家康は会社の社長のようなもの。何か事業を始めれば、社長が雑誌などのインタビューに応じることはありますが、実際にその事業を動かしているのは現場の人たち。現場レベルの管理は課長です。『家康、江戸を建てる』に出てくる主人公たちは、会社で言えば課長クラスの人たちです。

この江戸を建てるのにかかった時間は、1590年の移封から1654年の治水工事完了まで、なんと64年!今の東京の基礎を作る大事業ですから、そりゃ半世紀以上かかるわけです。

この64年の間に、上に挙げたような、秀忠を除けばあまり一般に知られていないような人たちが、家康からの命を受けてそれぞれの仕事を手掛けます。使用人から成りあがった者もいれば、仕事を子や他人に引き継いだ者、協力して知恵を出し合った者や、最後には自分の思いが遂げられなかった者。そこには多くのドラマがあります。

仕事論は江戸も今も変わらない

本書にでてくる主人公たちからは、仕事論、プロ論が垣間見えます。みながみな、その道のプロであり、家康からの命に対して、誇りをもって仕事に取り組む姿が描かれています。

時にはプロフェッショナルとして、大きなことを成し遂げたいと思いながらも、現実の必要性などから自分を抑えるような場面もあります。腕一本で成りあがる者もいれば、自身の力を試すために、あえて地位を捨てる者も。

江戸を建てるという並大抵でないプロジェクトを任された人たちですから、当然仕事も生半可ではありません。そのプロジェクトを指揮、実行する上での判断基準、価値基準などは、今と変わらないものがあります。秀忠ですら、本丸から指示を出すだけでなく、現場へ足を運び最終的な意思決定を下します。現場視点の仕事論が、随所に見受けられます。

まとめ的なもの

私の祖父は土木の仕事をしていました。戦後の焼け野原だった街を、一から作り直したという話は、子どもの頃から何度も聞かされました。あのあたりの下水管は~、この道は~と、市内の至る所で、街づくりの仕事に携わっていたようです。

そういうこともあってか、街づくりの話には惹かれます。ゲームもシムシティやA列車で行こうなどの箱庭系街づくりゲームが大好きでしたし、江戸東京博物館でも、上下水道の仕組みの模型をしげしげと眺めたり。

私自身の仕事は、建築、土木とは全く関係のない業種で、しかも現場ではなく間接部門なのですが…。でも、やはり何かを作る仕事というのは面白そうだなと思いますし、そのなかでも建築、土木は、生まれ変わったらなってみたい職業のひとつです。

いつの時代も人々の生活の基盤となるのが街というインフラ。江戸時代も例外ではありませんね。号令を出すのは社長や市長かもしれませんが、現場にこそ物語、ドラマがありますね。

 

家康、江戸を建てる (祥伝社文庫)

家康、江戸を建てる (祥伝社文庫)

 

 

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